それでは、お先に。 ちょっと素敵な社葬の話
2022/07/09
お別れ会の在り方
一年前の覚悟
和讃の会では、終活全般に使えるお葬儀保険を扱っています。宮城県仙台市に有るフローラル共済の代理店をしていますが、お花屋,葬儀屋、保険屋と一代で築かれたフローラル共済(株)の曳地社長が亡くなられました。
お亡くなりに成られたのは、5月でしたが、コロナの影響も有りお別れ会は7月に成りました。
7月の、仙台は雨と湿度で蒸し暑い日が続いて居ましたがその日は青空、さわやかな初夏の陽気でした。200人は入る会場に立たなければ成らないほどの多くのお別れを惜しむ人たちが集まった中、祭壇の奥にスクリーンに亡くなられた曳地社長の姿が映りました。
「本日は私の葬儀にご参列頂き、誠にありがとうございます。」独特の嗄れ声で丁寧に頭を下げる姿、驚きとむしろそのセンスに笑いそうになりました。
インタビューでは無く、朴訥に自分の仕事の経緯を話されます。奥様と小さな花屋さんから始まり、葬儀屋を立ち上げ、単に葬儀をするだけでは無く、高齢者のお葬儀の負担を軽くするためフローラル共済を立ち上げられた事、近隣の山を買い公園を作り花の名所を作った事、苦労がたたり奥様が先に他界なさった事。
人にはドラマが有ります。大きな事を成し遂げられた人にはそれなりのドラマが有ったのでしょう、まるで他人事の様に喋られる社長の姿にいつしかこの方が亡くなった事も忘れてしまいそうに成りました。
「家内は三途の川を渡ったところで花屋をやって居ります、私はその横で居酒屋でもするつもりで居りますので、こちらにお越しの折は是非皆様お立ち寄りくださいませ。」会場に笑いを誘い、そう言うとビデオは終わりました。
実は1年前に制作されていたそうです。自分の寿命を計り、すべてを引き継ぎ、そして自分の葬儀まで段取りしておられたそうです。多分病状から、痩せたお姿から立って居られるのもつらかっただろうと思います。それでもすべての段取りを済ませ、自身のお葬儀までプロディースされていたとは。
悲しみの中、少しほっこりとさせられました。
私は、ここまで自分の死に向きあう事ができるだろうか、自分の死を客観的に考えられるだろうか。
少しづつですが終活は初めて居ます、万が一の事を考えて行動はして居ますが、何かと言い訳をしてしまいがちです。慌てる事は無い、こっちを先にやらなければ成らない、若し本当に旅立ちの日が迫ったなら、曳地社長の様に、私は冷静な判断が出来るのだろうか。
東北の一企業の社長のお別れ会でした。それでも彼は私たちに悲しむことを求めず、どう在るべきかを最後まで表したと思います。終活屋を名乗る私達、まだまだひよこなのかも知れません。