とても小さな、そして大きなお葬式
2022/02/13
俱会一処
忘れない事 思い続ける事
深夜、昔の葬儀仲間から電話が有った。赤ちゃんなんだけど和讃の会でお葬儀は出来ないだろうかと。彼も葬儀屋だがサラリーマンだし、予算的に厳しいものが有って彼の裁量ではどうにも出来ない。直葬でよいので何とかしてほしいとの事。
喪主は未だ三十代、お母さんも20代で、突然の事でうろが来ています。我々はNPO、採算度外視が出来る、と言うわけでは無いが何とかしなければと動きます。
突然死と言う事で司法解剖に成ります、行政解剖で無いことに少し、引っ掛かりは有りましたが翌日警察にお迎えに上がります。
男の子です、バスタオルに包まれた小さな体は生後四か月、小さな体、頭に巻かれた包帯が痛々しいです。胸回りも包帯に包まれて、頑張って戦って来たんだね。三尺の白いかわいいお棺に安置してご自宅へと連れて帰ります。
呆然と涙を流す若い夫婦には酷だったかもしれませんが、自宅でお着替えをさせて頂きます。慎重にお棺から出して、本来ならお身内さんの手を借りずにお着替えはするもんですが、今回はあえて手伝ってもらいます。
歩くことのなかった小さな足に靴下をはかせて、ママの指は握ったのだろうか、小さな小さな手に負担が掛からないように、ロンパースを着せます。まるで眠っているようで、おなかがすいて、泣き出すんじゃないか、そんな穏やかな顔をしていました。
去年生まれて、ちょっと早産で、もともと体は少し弱かったそうです。それでも写真がいっぱい飾られているのは、きっと幸せな時間がそこに在ったのだろうと思います。
何も解らないと言っていた夫婦、納骨の事、今後の事、少しお話をさせて頂いて、奥さんの実家の納骨堂に入れてあげたいと。お寺さんと、葬儀の関係も気にしていたので、私が浄土真宗本願寺派の作法でよければとお伝えしてら安心されました。お布施は頂いていません、今回は赤ちゃんと私のご縁ですから。
今日、当初誰も来ないはずでしたが、お父さんの友達関係が15人ほどが弔問にお見えに成って、葬儀式としてはちゃんとした形に成ったと思います。皆さん若いので、お焼香、合掌、礼拝について説明をさせて頂いて、滞りなく式は終わりました。
火葬場に上がる人数の関係、赤ちゃんは私の車で運びました。斎場では全員がお焼香も出来、無事に荼毘に付せられお葬式は終わりました。最後にお父さんに
「頑張ったね。」と声を掛けるとその場に泣き崩れました。
宗教的な話に成りますが、心配しなくても阿弥陀如来が彼をちゃんと極楽浄土に連れて行ってくれる事、賽の河原には地蔵菩薩が居て彼を守ってくれる事、そのためにも悲しまず、忘れないこと、思い続ける事、そんなお話をさせて頂きました。
私の僧侶の記憶の中で一番小さなお棺、仏様です。それでも一番私がいろいろと語ったお葬儀です。良い悪いではなく、きっといつまでも忘れないお葬儀だった思います。形はどうあれ、お葬式 やはり大切だと思います。